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アドバイザーとメンバーとのコラボレーション・広告運用プロボノ事例


(左から)メンバー室津瞳さん、アタラ合同会社 高瀬優さん、アタラ合同会社CEO/factoriaアドバイザー 杉原剛さん

杉並区西荻窪にあるコワーキングスペースfactoriaでは、メンバー間のコラボレーションはもちろん、アドバイザーとメンバー間でのコラボレーションも生まれています。

今回のコラボレーションは、factoriaアドバイザー・杉原剛さんがCEOを務めるアタラ合同会社による、NPO法人こだまの集いへのプロボノ(社会貢献活動の一つで、専門家による無償支援の意)と実際に活用したGoogle Ad Grants導入時のポイントなどについてお話を伺いました。

 

factoria 佐藤仁美(以下、佐藤): 室津瞳さんから、アタラ合同会社から認知や集客についてプロボノを受けるとの話を聞いた際に、飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。 今回は、プロボノに至った背景や具体的な内容などについてインタビューさせて頂きたいと思っています。

まずは、簡単に皆さんの自己紹介やfactoriaとの関わり方などを教えていただけますか? NPO法人こだまの集い 代表理事 室津瞳さん(以下、瞳さん): 2017年に3歳の娘の子育てをしつつ、私自身は息子を妊娠中で悪阻がありながら、看護師としてフルタイム勤務をしていた時期に、癌を患う両親(父は末期癌)の介護が重なることを体験し「子育て、妊娠、(両親の)介護をしながら、どうやって仕事を両立していったらいいんだろうか」という課題に直面しました。

その当時は、情報や解決策を一番知りたかったのですが、行政の管轄が縦割り故、欲しい情報が得られず、子育てと介護が重なることの就労継続の困難さ、日本ではまだまだダブルケア支援制度が未整備である現状に課題感を感じ、これらの社会課題の改善に向けて、令和元年にNPO法人の設立を決意しました。 法人設立にあたり、事務所登記のために3,4ヶ月間ほどfactoriaに通って、法人のつくり方や事業の立ち上げ方などの相談をさせて頂いてました。2018年にfactoriaで法人登記をしてから、これまでメンバーの一員としてお世話になっています。 アタラ合同会社 マーケティングコンサルティングチーム マネージャー/コンサルタント  高瀬優さん(以下、高瀬さん):

杉原が代表を務めるアタラ合同会社のマーケティングコンサルティングチームのマネージャー兼コンサルタントをしております。マーケティングコンサルティングチームでは、Google 広告などの運用型広告の最適化支援、広告運用トレーニングやコンサルティング、事業会社向けの広告運用のインハウス化支援をしています。 また、個人としては、広告業界の動向などについて自社メディアUnyoo.jpにて記事を執筆したり、外部メディアへの記事寄稿や、イベント登壇をしたりしています。 アタラ合同会社 CEO/factoriaアドバイザー 杉原剛さん(以下、剛さん): アタラ合同会社の代表の杉原と申します。2009年に同社を設立し、13期目になります。基本的には、企業がデジタルマーケティングを自走化させるためのコンサルティングを事業の軸としており、運用型広告の運用やデータの収集・分析、可視化などを通して企業のデジタルマーケティング活動を自社で完結できるようにするためのお手伝いをさせて頂いております。 最近は、データ活用やデータの可視化のお手伝いをする機会も増えてきており、データ活用としては、最終的に企業の意思決定や適切なアクションに繋げていくためのコンサルティングを提供しています。 factoriaとの出会いは、2017年に(factoria 佐藤との)共通の知人のお声がけで、factoriaで開催されたデジタルマーケティングセミナーにパネリストとして参加したことがきっかけです。そのセミナーは、非常に面白くてエキサイティングなセミナーで、こういうセミナーを企画できる箱と代表者って面白いなと思ったのが繋がりを深めることになった大きなきっかけです。 セミナー後の懇親会で「なんかできることない?」と仁美さんに声をかけたところ、翌日にはメールが来て、そこからトントンと幾度もアドバイスをするようになり、2018年にfactoriaのアドバイザーに就任しました。 現在は、アドバイザーとして、メンバー皆さんの経営相談やマーケティング相談を中心に、できる限りのアドバイスをさせて頂いております。 また、弊社のCSR活動は、過去からやっているのですが、そもそもの前提として、日々の企業活動自体が社会貢献だという認識を持っていて、社内でもそう話しています。その上で、社会や環境の利益になるようなことも、一つの社会貢献だということを意識して欲しくてCSR活動を始めたという経緯があります。 今回、アドバイザー活動を通じて、瞳さんからビジネス相談があり、彼女の熱意やビジョンがすごくいいなと思い、お手伝いをさせていただくことにしました。 瞳さんの活動は、概念的には新しいものですが、おそらく昔から潜在的に課題としては存在していたんだと思います。 その課題を顕在化させるために、もう少し認知度を上げる、興味のある人を集客をする手段として、弊社が培ってきたデジタルマーケティングに関するノウハウが役に立つのかなと思い、弊社において運用型広告に関わる領域を統括している高瀬にプロボノの相談したところ、快くやりますと言ってくれ、今回のプロボノ=CSR活動が実現しました。


 

瞳さんの想いが、剛さんの心に響いたビジネス相談

佐藤: そういった経緯だったのですね。瞳さんは、どうして剛さんに相談しようと思われたのですか?また、プロボノに至った背景とその理由について教えていただけますか? 瞳さん: 元々、アタラ社のホームページで公開されている、Googleによる非営利団体向けの無料広告プログラム・Google Ad Grantsの支援事例を拝見していたので、それについて教えて頂きたいということと情報の広げ方について、剛さんに相談したいと思っていました。しかし、それから数ヶ月が経過していて...。

というのも、自分が何に困っているかを説明できないのではないか、介護や医療については少しは理解しているが、初めて事業を立ち上げるため、ビジネスに関しては全くの素人である私が、マーケティング業界のエキスパートである剛さんの貴重な時間をもらってもいいのか?という考えやビジネスに対するコンプレックスがあって、なかなか相談ができないでいたんです。 そんなタイミングで、factoriaの仁美さんに相談したところ「起業家は自分で道を切り開いていくマインドを持つことが大事。恥をかきながらでも、知りたいこと、わからないことがあれば、先輩に教えてもらう、聞くことが大事。」と背中を押していただき、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、勇気を出してSlackにて剛さんに連絡をしました。

Slackでのやりとりの最中、剛さんは何一つ難しい言葉を使わず、私がわかる言葉でやりとりをしてくれたおかげで、本当のエキスパートとは相手のわかる言葉を使うんだと感じ、一気にハードルが下がったのを覚えています。 その後、factoriaで直接会ってミーティングをすることとなりました。開始直後に、ビジネスに対するコンプレックスがあることを話したところ、剛さんから「最初、事業を始める時は、誰しも一緒だから。」と言われ、事業家の大先輩から応援メッセージをいただけた様な気がして、今までのビジネスに対するコンプレックスも解消されました。 また、そのミーティングで一番の勉強になったのは、マーケティングというかっこいい言葉に私自身がビビっており、ハードルの高さや恐怖心を感じていたのですが、剛さんから「日常生活に置き換えて、大事なことを伝えることがマーケティングだからね!」と教えられ、マーケティングの本質を掴めた気がして、恐怖心がなくなったことが一番の学びでした。 ミーティングでは、ずっと相談したかった、子育てと介護に困っている人に情報を伝えたいが、行政・自治体や支援者もそのサポートの仕方がわからないので、ダブルケアの専門職としてダブルケア当事者と行政・自治体との間に入り、行政など支援側にもメッセージを伝えるための情報の広げ方の相談と、Google Ad Grants導入方法について相談をしたところ、剛さんから「支援をしますよ。」と言って頂き、その日のうちに高瀬さんをご紹介頂いたという流れです。 剛さん: プロボノとしてお手伝いさせて頂いた理由は、一言で言うと、瞳さんの想いが心に響いたことです。 factoriaでメンバー皆さんの経営全般や営業についてなど様々な相談を受ける際には、自分自身が2009年の会社を創業した13年前に、なんとか手探りでやってきた中で、それなりに失敗もしつつ、それなりに上手くもいった経験をメンバー皆さんにシェアしているという感じで、別に特別なことはしていません。 例えば、集客やマーケティングという課題を頂いた場合に、HOW、WHERE、WHENの部分(何をすべきか、いつやるべきか)の手法論としてはいくつかあるが、最も大事なところは、自分のWHY&WHATを再確認するということだと思っています。 もちろん、それがある程度あるから事業化しているわけですが、そのWHY&WHATを他の人に簡単に、シンプルに伝えるということを、もう一段ハードル越えなきゃいけない人が多いなと感じています。他の人になり変わった時に、その人が理解できるように、もう一回組み立ててみようというアドバイスがほとんどです。 今回の瞳さんも同じケースで、そこのブラッシュアップが出来たかなと思います。具体的には、口頭で伝えていく部分、ウェブサイトで伝えていく部分でも、もう少しシンプルにわかりやすく伝えていくというアドバイスはできたんじゃないかなと。 集客に関しては、Google Ad Grantsがいいんじゃないかと言うことで、広告アカウント開設、検索キーワードの提案と設定、最大限効果を得るための戦略立案、初期設定など広告運用の専門性が必要なので、その部分でお手伝いしましょうか?とお話しをしました。 高瀬さん: 通常のGoogle 広告と、Google Ad Grantsの初期設定は、ほとんど変わりませんが、Google Ad GrantsはGoogleによる助成金プログラムのため、普通に設定しようとすると非常に厳しいハードル(一定以上のクリック率の閾値)が設定されます。 一方で、スマート アシスト キャンペーン(以下、簡単モード)で設定すると細かな調整はできませんが、閾値などなく必要最低限の設定でGoogle 広告を配信できるため、Google Ad Grantsは簡単モードで設定するというのが、最近の主流になってきています。今回は、その設定のお手伝いをさせて頂きました。 実際の広告運用は、瞳さんが広告文などを設定、管理画面で運用をされていました。 剛さん: 弊社が支援する広告運用最適化は、マーケティングコンサルティング事業でもCSR活動でも考え方は同じで、持続性を持ってもらうために、最終的には広告主が自走化していけることを大事にしています。 起業したてのスタートアップ期は、人材もいない、予算も潤沢に投資できない中で、アウトソースはなかなか難しい....だけど集客しないと始まらないというジレンマがあります。 自分達でノウハウを持って広告運用できるようにする、という部分は、お手伝いできるので、持続性がある形で初期設定やノウハウの提供をさせて頂いてます。

高瀬さん: 簡単モードは、広告運用の自走化に適したキャンペーンです。初期設定を完了すれば、特に調整にリソースをさかずとも少しの労力で運用できるようになるため、自社のメイン事業に集中できます。


 

佐藤: 皆さんのお話に出て来たGoogle Ad Grantsの具体的な内容を教えていただけますか? 高瀬さん: Google Ad Grantsプログラムという、非営利団体を対象に、1ヶ月の予算$10,000USD(1日の予算は$329USD)まで広告を掲載できる無償プログラムです。


 

佐藤: 運用の結果はいかがでしたか? 高瀬さん: 初期設定完了後、1ヶ月くらいは広告が表示されない期間が続きました。2020年12月末に掲載が出始め、少しずつクリックされるようになり、順調に表示回数が増えていきました。合計60回表示の内、4回のクリックがあり、なかなかいい結果が出ていると思います。 今後、NPO法人 こだまの集いさんの事業テーマや活動内容、ダブルケアというワードに対して世の中の関心が徐々に高まってくると、それに応じて表示回数も増えてくると思います。 瞳さん:

2021年4月から厚労省がダブルケアの課題に大きく予算を充てており、モデル事業に資金を交付する活動が始まります。そこでは「ダブルケア」と明確に掲げているため、社会の認知度も高まり、表示回数も増えてくるのかなと期待しています。


 

佐藤: NPO法人が広告運用をすることのメリット、デメリットについて教えていただけませんか? 高瀬さん: NPO法人などの活動を知ってもらうための手段の一つにオンライン広告があると思っていまして、Googleが無償提供しているプログラムを使わない手はないのかなと思います。 (一般ユーザーが検索したキーワードに関連した広告を表示する)検索連動型広告なので、今まで気づかなかったようなニーズや困り事のキーワードを見つけることができるので、インサイト発掘やNPO法人などの活動の認知に使えるので、使わない手はないかなと思います。 瞳さん:

デメリットは、思い浮かばないですね。デメリットは、Google Ad Grantsを使わないことでしょうか。

剛さん:

強いてデメリットをあげるとすると、自社の良さを伝えきれない広告文やクリエイティブ、初期設定を間違ったままやると全く効果が出ない方向に行きます。 正しい設定をしないと正しく使えないのが難しい所でもありますね。 昔から言われることで、狙いたい人にピンポイントに近い形でターゲティングして、効率よく集客する、目標を達成するのが運用型広告の良さです。 一方で運用型広告は、実は、マーケティングリサーチツールでもあります。世の中の人がどのくらい、自社に関連する検索キーワードで検索しているのか、自社が張った検索キーワードや配信した広告文やクリエイティブで何が一番響いたのかを数字で理解できるので、数字を頼りに、良い形で情報を伝えていくのが、大事です。 そういうことがわかるのが、大きなメリットですね。運用型広告だけでなく、マーケティング全般で何を打ち出せば、良いかのヒントを得られるので、使うメリットは十分ありますね。


 

佐藤: 最後に、初級者が広告運用をする際のコツやポイントのアドバイスをお願いします。 高瀬さん: 正しい情報(Google公式のヘルプページや信頼度の高い会社のサイト)を基に、設定をしていくことです。広告運用に限らず、明確な目標を決めて、そこから逆算してやっていくことを意識するのがいいと思います。 剛さん: コツコツやる人が強いので、エンドユーザーや相手の立場に完全に立ち、類推することができれば、広告運用でも、それ以外のマーケティング、集客施策でもうまくいくと思います。相手の立場に立つのが難しい時は、人に聞いて回るのがいいですね。 例えば、年齢や業種などいろいろな人がいるfactoriaで聞いてみるのもいいと思います。お金があれば、リサーチはできるが、身近な所で聞いて回るのは一番いいかと思います。


 

いかがでしたか?

前半は、factoriaアドバイザーとメンバーとのコラボレーション・広告運用のプロボノについて。後半は、Google Ad Grantsの活用事例や初級者が広告運用をする上でのポイントを学んでいただけたのではないでしょうか? 私自身も広告運用をしているので、すごく勉強になり、すごく楽しい時間でした。 アタラ社のサポートを得て、瞳さんの団体の活動がさらに大きなインパクトとなることを心より祈っています。


最後に、こんな素敵な人達がfactoriaにいてくれて、とても光栄です。

志を共にできる仲間がいる大切さを、2社から気づかせて頂きました。 この場を借りて、改めて有難うございます!

 

アタラ合同会社のWebサイトでも今回のプロボノ、CSR活動についての記事が公開されていますので、記事はこちら

 

【NPO法人 こだまの集い】

概要:大学と連携したダブルケア研究、ダブルケアに関連した啓発セミナー、個別相談、座談会の開催


設立年月:2019年5月(任意団体 こだまの集い 設立:2018年10月)

代表者:代表理事 室津瞳

 

【アタラ合同会社】

概要:企業のデジタルマーケティングの自走化を理念に掲げ、運用型広告の運用支援、インハウス化支援、トレーニングや、企業内外のビジネスダッシュボード構築、各種データ収集コンサルティング、解析ツールの設定支援、運用型広告データ自動収集・出力・ダッシュボードシステム「glu」の提供などを幅広く提供する。


設立年月:2009年9月

代表者:CEO 杉原剛

Webサイト:https://www.atara.co.jp/


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