前編からの続き。
factoria開業の地として西荻を選んだ理由
宇都宮
factoriaはすごく西荻らしさを感じますね。
西荻のお店は、まあまあお洒落でユニークなんだけれども、敷居は高くないっていうイメージがあって。親しみはあるんだけれど、良くも悪くも、一見さんお断りみたいな西荻の文化もあって、確かにそういったところが、factoriaにも色濃く出ていて西荻が好きな人は、多分factoriaはすごく合うと思います。
佐藤
元々、私が西荻好きだったので、西荻で開業したかったという背景はありますねw
坂田
西荻は結構、個人で頑張ってる店が多いですよね。
factoriaメンバーも、自分で仕事や事業を立ち上げてっていう人ばかりなので、町との相性も良いなって思います。
高木
確かに。
佐藤
factoriaがメンバー同士の関係性を密につくれるっていう意味では、西荻っていう町の雰囲気が大いにあるなと思います。
西荻にある飲食店さんや本屋さんもお客さんとの一体感、親密感があるなと思いますし。
宇都宮 西荻を始めとする中央線文化ってありますよね。
特に、地方から上京してきた学生が憧れる町で、僕ぐらいの世代はそういうところがあったわけですよ。でも、ずっと西荻に住むかというと違うわけですよ。
僕も一旦、西荻から離れたんだけれども、仕事場であるfactoriaが西荻にあるので、ある種のノスタルジックな気分もありますね、安堵感というか。
西荻に住んでた頃からは、結構、お店も変わりましたが、町の雰囲気は全然変わってないですよね。
坂田
そこですよね。お店が変わって町の雰囲気が変わってしまう町と、お店が変わっても町の雰囲気が変わらない町。
西荻って、お店は確かに色々変わってるんでしょうけれど、町の雰囲気は残っていますよね。
高木
だから、住んでる人もお店や商売をしている人もヨーロッパの町みたいですよね。なんとなく皆で、この雰囲気とか空気とか文化を守らないとっていう風に思っているのかもしれないですね。
佐藤
そうですよね。町の雰囲気が好きだから残していきたいっていうのをすごく感じますよね。
入会はお見合い!?
宇都宮
factroiaに話を戻すと、なぜ、面接重視なのかっていうところを、ぜひお願いしたいんですけど?
佐藤
面接っていうと....w
坂田
私がfactoriaに内覧に行った時は、factoriaのことについて聞かせて欲しいので内覧させて頂きたいっていうスタンスだったんですが、実は、面接でもあったというw
佐藤
面接っていうと、ちょっと偉そうな感じがして....
要は、内覧にお越しになる方と私とは、初対面なんですよね。だから、初めましてというご挨拶とお互いを知るためのミーティングでもいいし、インタビューというイメージですかね。お互いのことについて知り合いましょう!みたいなイメージです。
factoriaに内覧にお越しになる方は、起業や個人事業主やフリーランスとして独立開業する目的を明確に持ってらっしゃるので、どうして起業しよう、フリーランスとしてやっていこうと思われたのか?その背景を知りたいし、教えていただきたいという興味があって。
宇都宮
そうですね。ごめんなさい!面接って言い方よりもインタビューですね!
佐藤
インタビューですね。逆に、内覧にお越しになる方々から私個人についてもたくさんご質問を頂くこともあります。それも、お互いを知り合うっていうことだと思っています。
高木
お見合いみたいな感じですかね?
佐藤 良い表現ですね! やっぱり、初対面の人同士、自分のことについて知ってもらったり、相手のことを知るって重要だと思うので、 その時に考え方や想いがビビッと響くとすごく嬉しいです。 皆さんは、他のコワーキングスペースの内覧などに行かれたことってありますか?
factoriaと他のコワーキングスペースとの違い
高木 最初は、知り合いのいる渋谷駅近くのかっこいい内装のコワーキングスペースを見学に行って、正直迷ったんですが、運営者の話を聞くと全然違うんですよね。 だから、比べる基準がおそらく違っていて。単に空間としては良い、例えばミーティングスペースがたくさんあるというような。そういう利便性や魅力だけだったら渋谷や他のところもありますが、やっぱり、プラス人、どんな人達がいるかっていうところがあって、それこそfactoriaの場合は、面接っていうか、インタビューで入会を断られることもあるのねというのも驚きでした。
つまり、factoriaなりの基準で人をちゃんと見て、選んでるんだなと思ったので、そういうところに入居するっていうのは、 スペースだけじゃなくて、他の魅力があるのかなと思いました。
まさに、コワーキングを一緒にできるような空間なのかなっていう印象が強かったことと、あとは、仁美さんと話をして、なんかこの人面白そうだなと思ったっていうのがfactoriaに決めた理由です。
佐藤
わ、嬉しい!
恵子さんのおっしゃる通り、内覧にお越しになる方とfactoriaメンバーさんとの相性を大事にしているので、お見合いみたいな相思相愛的なことも大事なポイントです。
また、私やfactoriaとして、内覧にお越しになる方やお問い合わせくださる方の役に立てなきゃ意味がないと思っているので、競合他社様も含めて近隣のコワーキングスペースを熟知しているのは、運営者である私なので、内覧やお問い合わせくださる方にとって、最適な場所や人(運営事業者、コミュニティ)も含めての最適な環境を一緒に見つけることを目的に、まずは要望をヒアリングさせて頂き、factoriaが合うのあれば、話が進むかもしれないし、そうでなければ、競合他社をご紹介するという流れは、開業以来ずっと続けていることです。
坂田 私は、東京でアロマ教室をやるなら、ずっと西荻で開催したいと思っていました。
factoriaの他にもう1件見に行ったところもあって、すごく感じも良かったんです。ただ、私がターゲットにしたい人達の場所かな?って疑問に思ったんですね。
アロマっていうと趣味で始める人がほとんどで、割と時間にも余裕のある女性が中心なので、平日昼に教室に通うイメージが強いと思うんですけれども、私の場合は働く人をターゲットにしたレッスンを考えていたので、場所的にも働く人達が来ても、違和感ないような感じの雰囲気のところが良いなと思ったのが1つです。
匂いを出すアロマ教室をコワーキングスペースで開催するのは、特殊かなと思っていたので、それが大丈夫なのかは若干心配だったんですけれど、仁美さんに最初お話聞いた時に、以前、アロマ教室をやっていらっしゃった方がいたという事例もあったので、じゃあ大丈夫かなと思って。
また、いろいろな道具を使うので、ロッカーを借りられるのも、実は地味にポイント高くて。例えば、毎回、開催場所としてスペースを手配して、荷物持ってセッティングしてとなると、相当面倒くさいだろうなと思ったので、ファシリティ面でも良いなと思っています。
あとは、住所利用もできますし、ECサイトを始める場合にも良いので、やっぱりfactoriaにしましたね。
佐藤
事務所開設時やECに表示する住所を自宅にしちゃうと結構セキュリティ面でも心配ですしね。
坂田
自宅はちょっと.....。特に、賃貸なのでちょっと余計にやりにくいんですよね。
佐藤
賃貸に限らず、所有してる自宅の場合は尚更公表したくないなっていうのはありますね。
た
高木
まさにそうですね。
私がfactoriaで思ったよりも良いなと思うのは、自宅とオフィスが近いことですね。また、オフィスがあるおかげで、自宅と物理的に独立していることもいいですね。
ワークライフバランスとよく言いますけど、自宅だとワークもライフも、子供もいたりして、混ぜ混ぜなんですよね。なので、ワークライフバランスを取るっていうよりも、全部一緒って感じで、ワークライフという1つのカテゴリーに丸っと収めているっていう感じです。距離的なものもあるし、やっぱり心理的にも楽です。
坂田
私は、今までは神保町まで1時間弱かけて通っていましたが、今だと自転車で15分で行けちゃうから距離が近いという心理面での軽さ、楽さは予想以上でした。
佐藤
今でこそ杉並区や吉祥寺周辺にも、たくさんのコワーキングスペースができましたけど、factoriaができた2017年は、なんで西荻窪につくるの?!と皆にダメ出しされましたよw
宇都宮
今、西荻に何軒ぐらいあります?
佐藤
コワーキングカフェさんみたいなところを入れると6,7件ですね。
コミュニティがあることの価値
宇都宮
僕がfactoriaに入ったのがコロナ直前の2020年1月。コロナ禍でリモートワークが一気に押し寄せてきて、仕事場どうしよう問題、国民的な課題となってる中で、factoriaもお休みになりましたね?
佐藤 緊急事態宣言の1ヶ月間ですね。
宇都宮
1ヶ月後に開けて頂きすごく助かりましたね、心理的にも。
佐藤 factoriaを開けるかどうかも皆で決めたみたいな感じでしたよね?
東京都に営業可能かどうかの確認をしたところ、休業して欲しいとのことだったので、じゃあ1ヶ月間はクローズしようとなって、私も悲しかったです。 再度、都に確認を取ったら大丈夫ということで、メンバーさんにヒアリングしたら場所が必要との回答を頂いたので、再開したんですよね。
再開にあたっては、 設計士や看護師さんが、衛生管理や必要喚気量計算などをしてくれて、メンバー皆でスペースの運営方法をどうしていこうかと議論して、その時に決めたことのルールブックを作るのも皆でやりましたね。そういう議論ができたのも、factoriaならではだと思います。
宇都宮
先程、他のコワーキングスペースについて話していたじゃないですか。僕、1回取材でね、東京駅近くのコワーキングスペースで、factoriaの3倍ぐらいあるかな。そこそこ小綺麗で受付があって。なんだけど多分そこも、場所だけ貸すっていう感覚で。隣の人を全く知らないメンバーのバックグラウンドを全く知らないという、それが好きって人もいると思うんですけどね。ちょっとあんまり響くものなかったかなってのは当時の記憶ですね。
佐藤
コワーキングスペースに、何を求めるかにもよるんですよね。ただ場所だけでいいよっていうタイプの方もいれば、横の繋がりや普段出会わないような異業種の繋がりを持ちたいというタイプの方もいると思いますし。何を目的にするかは、大事なことですよね。
坂田
私が初めてfactoriaに行った際に、(佐藤)仁美さんと1時間程話して、もうここだなって割と心決まっちゃった感じだったんですよ。すごく話弾んだなっていう印象で、コミュニティの話で盛り上がりましたよね!
佐藤
そうですね!
坂田 前職はIT系書籍の編集をやっていて、IT業界も技術毎の縦割りもあるし、いろいろなコミュニティがあるんです。そういうコミュニティの活動を外野から見て、情報収集などにも役立ったりとコミュニティの重要性をすごく感じていたんですね。 なので、内覧時にコミュニティの話で盛り上がった時に、パチっとはまっちゃったっていう感じで。ここに来れば大丈夫そうだなって。 そんな直感的なところで、factoriaに決めた方がいいなって思っていたし、アロマ教室の前例もあるし、スペースも広々としていて、一般的なアロマの可愛らしい雰囲気とは真逆なスタイリッシュな感じでいいなと。 内覧前にイメージしていた教室の雰囲気とは多少違う部分もありましたが、内覧時に仁美さんと話してみて、ここに決めちゃおうって。
実際、factoiraに入ってみたら、いろいろとやればやるほど、気づきがあり、めちゃめちゃ面白いなと思ってます。
皆で考えたい「これからの働き方」
佐藤
すみません...もうちょっとしたら、factoriaVOICE初回はそろそろおしまいの時間ですw
次のfactoriaVOICEテーマを何にしようかなと思っていまして。「働く」を基軸にしたいと思っているのですが、次はどうしましょうか?
宇都宮
働き方って大事だし、響きますよね。
はたまた、最近、ネガティブな話題が多いじゃないですか。そこをポジティブな方向に持っていきたいなっていうのもありますね。あと、次回もタイトルに「西荻窪」入れましょう!
高木、坂田、佐藤
はい!
佐藤 大事なのはメンバー同士で、こんな風にディスカッションして、気づきがあったり、こういう切り口があったんだっていう発見やお互いの視点を理解することが重要だと思っています。
「働く」を基軸にしつつ、「働く」の定義は何なのか?本当に働かなきゃいけないの?みたいなことも、そもそもあるのかなと思っていて。働く=善みたいな固定概念もどうなの?と思うこともあるかもしれないし。働くって、そもそもなんだろうっていうことを考えたことないなと思っていて。いろんな人の見解があって、面白いと思うし!
宇都宮
それ、面白いですね。自分自身を見つめた時に、「働く」の意味付けが各年代で違ってきています。
感覚ですけど、割と働くってのが辛いと思ってる人は多くないですか?
factoriaに話を戻すと、factoriaで仕事をしている人達は、おそらく皆さんが働くことに対してポジティブですよね?
高木、坂田
そうですよね。
宇都宮
だから、次のテーマはその辺が切り口というか、ヒントになるのかなって。
佐藤
好きな働き方を選んでいる人達も、今の笑顔の裏には、大変な苦労だったり、辛酸を嘗める様なことがあったと思うので、そういったことも共有したいし、聞きたいですね。
今は、起業や独立で成功した話はたくさんありますが、失敗談の方が学びがあると思っているので、そのディスカッションができるといいなと思います。私、失敗談いっぱい持っていますので〜w
宇都宮
仁美さんは、ビジネスを立ち上げた人ですけど、楽しさと辛さの割合はどれくらいですか?
佐藤 10の内、9.5が辛い、0.5が嬉しい楽しいですかね。だけど、その0.5のインパクト強烈なので、9.5の辛さを押し消しちゃうので続けられてますねw
宇都宮
ギャンブルと一緒だねw
佐藤
要は、失敗の方が多いわけですよね。でも、その失敗をどういう風にしたら解決できるか、いろんな人達の助けを借りれるか、 コツコツと地道にやっていかなきゃいけないことってたくさんあると思うので、メンタルが健康的であるようには心掛けてはいます。でも、皆そうなんじゃないのかなとかって思いますね。
宇都宮
次のテーマは、働く〇〇っていう、その〇〇をちょっと考えましょう。
例えばですけど、僕の仕事の話で言うと、サッカー業界で働くってどういうことって、同じ業界じゃない人は不思議に思うわけですよ。
プレーする選手ですよね。監督コーチっていうんだったら、まだわかる。僕は、一応伝えるという仕事をしてるわけですけど、伝えるにしても、10年前と状況がまるっきり変わってしまってて、そこで働き方ってのもまるっきり変わっちゃってるわけですね。
それこそ働き方が変わるだけならまだいいんだけれども、大事にしてた職業感とか、哲学とか大袈裟な言い方になりますけど、それすら変えなきゃいけないっていうことに対して、それをこう良しとするかしないかっていうことを結構求められてるっていうのが、僕らの業界で、今1人1人が突きつけられてることです。このようなことって、他の業界でもあるんじゃないのかなって。
佐藤 あると思います。
次回は、そこもふまえて、皆で話していきたいですね。
そろそろお開きの時間が迫ってきました。リスナーの皆様、ホストの御三方、本日は有難うございました!
このfactoriaVOICEは、自分らしい働き方にまつわる、あれこれをコワーキングスペースfactoriaのメンバー同士がディスカッションするのが目的です。
今後も、メンバーさんやリスナーの皆さんと一緒にディスカッションできれば、面白いことになりそうだなと思ってるので、ぜひよろしくお願いします。
宇都宮
今日、1番嬉しかったのは、ホストスピーカー4人じゃないですか。そして、リスナー4人の方がいらっしゃるんですよ。有難うございます、この人達を大事にしたい。
一同
有難うございます!
佐藤
それでは、皆様、金曜日の夜にお集まりいただき有難うございました。良い週末をお過ごしください。おやすみなさい。
共同ホストのプロフィール
高木恵子
株式会社アンコモンポイント代表取締役
大学卒業後、JTB、上海(中国)と台北(台湾)の外資系ホテル、国内ベンチャーで法人企画営業・マネージャー職のキャリアを積む。30代初めにイギリスでMBA取得後は、国内コンサルティング会社で、大手日本企業に対する海外事業戦略のコンサルティングに従事。
現在は、エグゼクティブやマネージャー層へのビジネスコーチング、リーダー育成、チームづくり支援、ワークショップ研修等で個人と組織の成長をサポートしている。
Website:https://uncommon-point.com/
坂田 弘美(さかた ひろみ)
公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)認定アロマテラピーインストラクター
1967年生まれ。神奈川県茅ヶ崎市出身。
大学卒業後、印刷会社制作部にてテクニカルライターとして大手電機メーカーのマニュアル執筆に携わったのち、外資系ITベンダーに転職し、開発部門にて英文マニュアルのローカライズに従事。
その後、エディトリアルな分野とテクニカルな分野の狭間で、自身のキャリア形成に迷うなかで「ものづくりは、使ってもらい、使い倒してもらって、はじめて価値が生まれる仕事」という気づきを得て、IT系の書籍編集者に転身を決意。2002年より株式会社ソキウス・ジャパンにて「徹底攻略シリーズ」(株式会社インプレス刊)の編集者として数多くの書籍を担当。2015年に同社を退職後も、引き続き「徹底攻略シリーズ」の編集を担当。
2021年いっぱいで編集職のキャリアに区切りをつけ、2022年よりアロマセラピーの教室「AMBER BOTTLE AROMATHERAPY」をスタート。
Website:https://amberbottle.com/
宇都宮徹壱
写真家・ノンフィクションライター
1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、1997年に「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追い続け、積極的な取材活動を展開中。FIFAワールドカップ取材は1998年フランス大会から、全国地域リーグ決勝大会(現地域CL)取材は2005年大会から継続中。
2016年7月より『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』の配信を開始。
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