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factoriaVOICE「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編❷前編」


杉並区西荻窪にあるコワーキングスペースfactoriaのメンバー同士が、自分らしい働き方についてあれこれディスカッションするコンテンツ、factoriaVOICE。



今回は「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編❷前編」をお届けいたします。 私、factoriaの佐藤が、ある日突然始まった遠方に暮らす親の介護により、スモールビジネスオーナーが仕事と介護を両立する難しさに直面したことが、企画の背景となっています。 私の様なスモールビジネスオーナーが、介護当事者となった場合の危機管理について、メンバーのお二人(介護とコーチングの専門家)と共にディスカッションしていますので、ぜひ、皆さんのお役に立てれば幸いです。


それでは「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編❷前編・介護の定義とは?」を一緒に学んでいきましょう!

 

前座・共同ホストの初出版を祝って

佐藤

本日はfactoriaVOICE「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編❷」ということで今回も、NPO法人こだまの集い・代表理事の室津瞳さん、株式会社アンコモンポイント・代表取締役の高木恵子さんと共にお送りしていきます!

本日のトピックは2つ。

まず1つ目は「介護の定義とは?」。前回のおさらいをしつつ、介護の定義についてまとめていきます。 2つ目は「介護が始まる2つのパターンと初動対応」。私、佐藤の初動対応についても併せて紹介させて頂きます。 その前に! 前座として、私、やりたいことがありまして(モゾモゾ動き始める佐藤)。 瞳さん!本の初出版おめでとうございます〜!!(花束贈呈)

瞳さん 有難うございます〜!

佐藤

おめでとうございます〜!!サプライズ成功〜!

瞳さん 実は「子育てと介護のダブルケア事例から紐解く連携支援の実際」という本が、3月に中央法規出版様から出版されます。

恵子さん、佐藤

おめでとうございます〜!!!

瞳さん すご〜い、びっくり。有難うございます!

佐藤 是非、書籍について教えて頂けますか?

概要は、育児と介護が重なったダブルケア当事者さんの26の事例が紹介されています。特徴としては、26事例に対して、育児と介護に関わる専門職とダブルケア当事者さんがそれぞれの視点があり、コメントをしている点です。

当事者さん、育児や介護に関わる支援者さん、研究者さんと皆の視点が繋がり、1冊の本を作り上げることができました。 支援策を示すというよりも、まずは話し合うところから始めようという趣旨になっています。 おかげさまで、本当に、面白い本ができました。これが国の政策を検討する上での資料になると思います。こういった位置付けの本がなかなか無かったので、支援も進んでいくと良いなと思います。

佐藤

実は、NPO法人こだまの集いの創業当時から、支援を求める方々に対してアウトリーチしていく、その姿勢がすごいなと思っていました。

その当時は、ダブルケアという言葉自体も、世の中には知られてなくて、メディアも取り上げていないという状況だったのですが、最近は、ビジネス系メディアを始め多くのメディアが取り上げるテーマとなっていますよね。

実際、瞳さん率いる同法人も日経新聞の電子版、紙版で取材掲載されたりと、追い風が吹いていると感じています。改めて、これまでお疲れ様でしたと共に、これからも頑張ってください。 そして是非、来月に集まれるメンバー皆で初出版を祝うパーティーをしましょう!

瞳さん 有難うございます!


 

介護はなんでもやってあげること?介護とケアとの違いは?

佐藤 前回、瞳さんから「介護って、実はケアと捉えることもできるんだよ」「ケアをしていれば、それは介護をしているってことなんだよ」とのお話がありました。それを受けて、介護の定義を調べてみたんです。 介護の定義とは、【介護とは、体や精神が健全ではない状態にある人の行為を助ける世話】とのことですが、瞳さんがおっしゃられていたケアの詳細や具体例を教えて頂けますか?

瞳さん 良い質問だし、難しい質問ですね。 今の介護に対する考え方は、日常生活のできない部分に対するサポートはもちろんですが、例えば、昔教員の仕事をしていた80代のおじいちゃんがいたとします。 そのおじいちゃんは、人に教えたり、何かを書くのが好きなんですが、手に麻痺や何らかの障害があり、今までのように動けない。そんな状況であっても、 おじいちゃんが輝けるようなサポートをしていくというのが、介護で大事なことなんですね。 つまり、その人がその人らしく輝く機会を作っていくことが大事なんです。 生活面で困ったところを助けるよりも、本人の生きるモチベーションを上げる。 本来、おじいちゃんは輝いていた時期があったはずです。その時の状態になるべく近づけられるためには、何が必要なのかを、周りの関わる人が見極めて、その環境を作っていったり、環境作りのサポートしていくというのが、介護として大事なことなのかなと。

それを、介護業界では【自立支援】と言います。自立支援の視点というのは、すごく大事なことです。 私見ですが、実は介護は、何でもやることが介護ではなく、その人が持つ力を引き出すことが介護だよという風に捉えて良いのではないかと思っています。

佐藤 自立支援という言葉に、なるほどと思いました。本人が持っている力を引き出してあげることが非常に大事なことだと、私も母の介護を通じて、強く感じましたし、大事にしていることでもあります。 老人施設に入居している祖母の介護って、手取り足取り何でもやってくれるような介護なんですね。一方、日常生活介助が必要といわれる要介護3で在宅介護を受けている母の介護をする上で家族で決めたのことは、手取り足取りの介護では無く、母のことをしっかりと観察しつつ、本人が出来ることや意思を尊重する様にしようと。母と一緒に過ごしていく中で、母は話せないけれど意思はしっかりあると感じることが多いです。 24時間ずっと体調が悪いわけではなく、良い時もあるわけです。良い時には、家族は動かずに、ぐっと堪えて、母が何をしたいのかを理解するために観察し、意思や感情を汲み取ったりしています。 家族が手を貸した方が早いのかもしれない。だけど、母の意思を尊重するためにも、しない、やり過ぎないということを大事にしているので、瞳さんのお話を伺って納得しました。

瞳さん 仁美さんは自立支援の心で、ちゃんとお母さんに向き合ってるんですね。

佐藤 家族としても、母が少しでも動いてくれると嬉しいし、母にとっても作業する(=体を動かす)機会にもなるので良いなと思っています。

瞳さん 本当に、大事なことですよね。

恵子さん 今の話を伺って、介護=守るという感じがしますよね。どちらかというと介助みたいな。手を貸してあげる、何かをやってあげるというイメージに近いのかなと思いました。



佐藤

私も最初は、恵子さんと同じ様に感じていました。ところで、瞳さんがおっしゃっているケアと介護はどう違うのでしょうか?

瞳さん 捉え方だと思います。

介護は、日常生活の世話をする、守る、お世話をするという意味合いが強いのですが、ケアの意味合いは介護よりも少し幅が広くなりますね。例えば、気にかける、気を配る、配慮するという意味合いもあるんですよね。 その意味合いで考えると、介護は、実際、体に触れて、困ったところをサポートするだけではなく、介護の多くは、気にかける部分だったりするんですよね。例えば、 親が近くにいなくて、少し離れて暮らしているけど、元気に暮らしてるかな、ちゃんとご飯食べてるかな、退院後に元気にしているかなと。 前回の恵子さんのお話でも、お父様が運転免許返納された後の毎日の買い物はどうすればいいかというお話がありましたよね。

車などの移動手段がないので、食事や買い物で困っている高齢者は実は多いんですよね。他の事例だと、親が1人で病院を受診するのが大変だったり、体調が万全でないのに1人で受診できるのか、あとは契約関係ですね。親に少し認知症があり、実家の処分をどうするのか、親の金融機関口座が凍結しないようにする手続きなどだったり、事前準備として、介護保険申請をしたり、家のインターネット契約など小さな契約関係、住所変更と意外と現役世代で、そういった親の契約関係を担っているという話も聞きます。

結構、細々したことが多いんです。その場合は、身体的な介護とは意味合いが違いますよね。

佐藤 そうですね。私も、市役所などの行政機関に母の介護保険や医療保険の相談に行った際に、担当課が連携しておらず、縦割り社会なので、連日通って、連日たらい回しにされてとw 30代の私でも詳細を理解するのが難しいし、担当者さんによって前提条件がバラバラだったりで、まずは前提条件は〇〇でいいですか?と共通認識を合わせたり、担当者さんに聞いてもわからない質問に関しては他の役割の方が話に加わったりして、また1から何度も説明したりなど、もう大変〜という感じだったので、高齢者だったら、かなり厳しいだろうなと思いました。

だから、高齢者はもしかすると、制度などを全く理解されていなくて、使ってるケースや、本来は使えるはずなのに活用できていないケースも結構あるんじゃないのかなと思いましたね。 そういった経験からも、介護やケアは体に触れる身体的なケアだけではないという話を伺い、納得です。

瞳さん 本当にそういった契約関連や行政の申請関連がとても手間ですよね。なので、当法人では身体的ケアだけではない、気にかける、気を配るといったことなども含めてケア、介護と捉えています。

佐藤 ケアも介護の一部と捉えると、介護の定義はどんなのがいいのでしょうか?

瞳さん 気にかけるところから、お看取りまででしょうか。 どこから介護が始まったかを実際に明確にするのは本当に難しいんですけどね。受け取り方も人それぞれですし。 ただ、親がちょっと転んだ形跡(傷跡)があるったりすると、もう介護が始まっていると思った方がいいですね。 あとは、老化の衰え(ケアが必要な状態がはじまっている)状態を判定するテストもあるんですよ。介護前の状態をフレイル状態と言って、少し虚弱な状態を指します。例えば、外出の頻度の低下や歩行状態などの細かい判定基準があり、シートに沿って評価していくんですよね。介護が始まる前の段階として、プレ・プレイル(前虚弱)とフレイル(虚弱)段階があるんです。 国としては、プレ・フレイル予防をしっかり行って、医療介護が必要な状態を防いでいこうねという方針です。

佐藤 今、フレイル予防について書かれている東京都医師会のホームページを開いてみました。ここには、プレ・フレイル、フレイルにいち早く気づくことの大事さが書かれていますね。

瞳さん

定年退職だったりで外出する機会や人間関係が著しく減ったりすると、そこから徐々に、プレ・フレイルという流れになってくるんです。なので、健康の秘訣は、どれだけ人とのネットワークを持っているかということ、これは結構大事なんです。

 

前編はここまでとなります。 後編は、「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編❷の2・介護が始まる2つのパターンと初動対応とは?」については、準備が出来次第、近日中にfactoriaサイトにて公開させていただきます。


 

室津瞳さんプロフィール


看護師、介護福祉士


ダブルケア当事者の声を支援者・自治体に届けてダブルケアでも就労可能な社会への実現に向けて令和元年5月にNPO法人こだまの集いを設立する。

大川医療福祉専門学校にて専任教員。

武蔵野大学 外部講師。

 

高木恵子さんプロフィール


大学卒業後、JTB、上海(中国)と台北(台湾)の外資系ホテル、国内ベンチャーで法人企画営業・マネージャー職のキャリアを積む。30代初めにイギリスでMBA取得後は、国内コンサルティング会社で、大手日本企業に対する海外事業戦略のコンサルティングに従事。現在は、エグゼクティブやマネージャー層へのビジネスコーチング、リーダー育成、チームづくり支援、ワークショップ型研修等で個人と組織の成長をサポートしている。

 

factoriaVOICE新企画「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編」は、毎月TwitterSpacesにて公開収録していきます!

是非、factoriaのTwitterアカウントにご登録頂き、是非公開収録にご参加頂けると幸いです。

それでは!

最後まで、読んで頂き有難うございます*:)




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