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親の介護をする上で、家族仲があるかどうかは大事!?factoriaVOICE「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編❸前編」


前回の最後を「実は、介護に入る前の入口部分の整備〜家族が一致団結する様なチームワーク、家族仲があるかどうか〜が大事ですよ」というお話で締めくくりました。 今回のfactoriaVOICE「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編③前半」は、前回の深堀りをしていきたいと思います。

ディスカッションのテーマは「家族内で、どうチーム体制を作っていくか?」について、factoriaメンバーの室津瞳さんと高木恵子さんと3人でディスカッションしていきます。


 

親の介護をする際、家族内のチーム体制の必要性はある?ない?


佐藤

まずは、介護経験者でもあり、ダブルケアの専門家である瞳さんに「家族内のチーム体制の必要性とその理由」について教えて頂きたいなと思っています。この点いかがでしょうか?

室津 家族内のチーム体制の必要性はあると思います。

その理由は、介護に関わる人の介護以外のタスク、例えば、仕事や育児などのタスクといった数多のタスクがある状況で、自分1人で介護をするのは、無理だと思うからです。

無理という前提なのですが、家族仲やパートナーシップが整っていないために、結局一人で抱えてしまう場合もあるんです。そして、責任感の強い方は、そんな状況でも一人で乗り切ってしまう、スーパーマン並みな人もいたりします。

ただ、相当気合を入れて、がむしゃらに介護をやれていても、持続しないですよね。 皆さん、本当に頑張り屋さんだから、それを何年も何年もやり続けている人もいますが、それは当たり前ではなくて、自分が疲弊しているだけだと。もちろん、幸せか幸せじゃないっていうのは、人それぞれ異なりますが、本音は大変だなと。

佐藤 大変ですよね。自己犠牲の基に成り立っているというか。

室津 家族毎に、それぞれの幸せは異なるとは思いますが、家族の誰か1人を犠牲にして成り立つ家族観っていうのは、 家族全員の幸せなのかというとどうなんだろうって思っています。 パートナーシップを大事にしながら、家族全員で負担を分担し合うのが大事かなと。介護に限らず、育児だけでも核家族だけで乗り切るのはきついんですよ。

介護や育児、仕事と幾十にも重なると、もう核家族だけではきついと思うんですよね。なので、社会資源の力を借りるのはもちろん必要だと思いますが、それでも乗り切るのは結構ハードだと思っているので、幾十にもサポート体制を作って、なんとか乗り切れるイメージです。


なので、家族内のチーム体制ももちろん必要ですし、家族以外のチーム体制も必要ですね。 幾十にもサポートしあえる仕組みを作っておけるといいんじゃないでしょうか。それが、自分の健康や幸せにも繋がると思っています。

佐藤 家族以外のチーム体制というと、介護保険サービスや民間のサービスということでしょうか?

室津 そうですね。一時的に介護サービスにお金を投資しても、自分の経済力を落とさないようにするという考えも大事です。


これは育児にも介護にも共通して言えるんですが、 最終的に大事になってくるのは「時間」なんですよね。時間を確保するために、一時的に勇気を出してお金を投資する必要があると思っています。

そういった考え方をしている人は、生涯年収で考えると、育児と介護という状況があった時にでも収入が途絶えないので、自分達の生活が持続するんです。

短期的な視点だけじゃなくて、自分達の老後のことなど長期的な視点で人生を考えて、決断した方がいいと思うんですよね。それを乗り切れるチーム体制を幾十にも作っていく必要があるかなと思います。

高木 すごく同感ですね。特に、時間を確保するために、覚悟して、一時はお金を出す覚悟も必要だなと。もちろん、自分のできる範囲でしょうけども、時間もお金も長期的な視点で捉えるというのは、すごく大事だなと思いました。


 

他の家族の協力がない場合や一人っ子の場合の親の介護は、どうする?

佐藤 家族内のチーム体制がない場合、例えば、他の家族の協力が得られない場合や一人っ子の場合はどうでしょうか?事例などもあれば教えていただけませんか?

室津 まず、一人っ子の場合は、大変なんですよ。 一人っ子は、介護に関する決定は、きょうだいがいないため自分1人で行いやすい というメリットはあるかと思います。ただ、介護を分担しあえる家族がいないので、負担が大きい部分はあります。 その場合のポイントは、チームを組むことなんですよね。例えば、介護の専門職を巻き込みつつ、ネットワークを作ることですね。

ネットワークづくりで、まずお勧めなのは、介護関連のネットワークを知ってる人との繋がりを持つことです。 例えば、介護の専門職や契約関係のプロフェッショナルやお金のプロフェッショナルといった詳しい人に繋がれると良いですね。 専門職に繋がり、Q&Aしていくことで、専門的なことを知れるので、負担がかなり減り、自分の時間と労力を最小限に抑えられます。 友人にそういった専門職がいれば良いですが、そうでなくても専門職と繋がることに意識を向けられるといいのかなと思っています。


逆に、恵子さんと仁美さんに質問ですが、例えば士業など専門職の方とどう繋がったのでしょうか?

高木 会社員だとなかなか士業の方と繋がることが少ないかなと思いますね。独立してからはインターネット検索で探しました。


瞳さんの話を聞いていて思ったのは、我が家の息子は一人っ子なんですね。まだ小学生なんですけど、もう少し大きくなったら、例えば、親の介護をする側になるわけですよね。なので、一緒にネットワークを探すのはいいんじゃないかなと思いました。

あらかじめ、親の立場で言うと、親に介護が必要となった未来のために、子供もチームの一員という風なネットワークを作っておく。例えば、もしも、お母さんが倒れて介護が必要となったら、NPO法人こだまの集いの室津瞳さんに相談ができるよっていうことを子供に教えておくとかですね。 そうしておくと、全く知らない人だと抵抗感があるところを、元々一緒に探してた人だよねっていうことで抵抗感も少なくなるんじゃないかなって思いました。

佐藤 介護に関わる家族や介護される人の介護に対する抵抗感のあるないって、大事なポイントだなと思いますね。私がこんなに介護に抵抗感がないのは、瞳さんのおかげなんだと思うんです。 ご質問の「どのように士業などの専門職の方々と繋がったか」に答えると、私の場合も恵子さんと同様で起業してから繋がりました。 他業種の方々との繋がりが広がった一番のキッカケとなったのは、(ポジショントークでも何でもなく)コワーキングスペースですね。コワーキングスペースには、いろいろなバックグラウンドや専門職の方々がいるので、多彩なネットワークが既にある環境だと思っています。 また、そういった環境に属している私の場合は、瞳さんがダブルケアに関する事業を展開をされていることもあって、介護に関する情報や知識を事前に得やすい環境にあったことが、介護に対する抵抗感が下がっていたんだと思っています。 なので、そういった環境に触れておいたり、身を置くっていうのは、何かあった時に、サポートが得られやすいため心理的障壁も下がり、非常に有難いなと感じています。

室津 私の生命保険の担当者で木村さんという方がいるんですが、介護職の仲間であり、ファイナンシャルの資格をもっている友人なんですね。 私にもしも万が一何かあったら、木村さんに連絡してねと、8歳と4歳の子供や夫に遺言を残しているんです。家族が木村さんに連絡したら、お金の件でなんとかしてくれるはずだから、と。

高木、佐藤 大事ですね。

室津 父の介護で大変だったのが、お金のやりくりだったんです。ターミナルケアの入院やお葬式で結構、お金がかかったのですが、父の定期預金は、本人がサインできないと解約ができない状態で、口座が凍結しちゃったんです。ちなみに、士業さんに口座解約依頼すると10万円前後ぐらいかかります。 そんな経験上、お金のことは木村さんがなんとかしてくれるからっていうことを家族に事前に伝えてます。

佐藤 それは大変でしたね。やっぱり事前知識があるかないかで、その後の対応も全然違うなと改めて思いました。

室津 お金のかけ方、時間の使い方は、本当に情報次第です。

なので、まずは、専門職に従事している人を知っているかどうかなんですよ。志のある専門職に繋がれることができれば、情報がもらえるじゃないですか、情報が手に入れば、なんとでもなる気がするんです。恵子さんのお子さんのように一人っ子でも大丈夫です。

高木 そういう意味では、今日の瞳さんの出版祝いランチ会に、息子も来るべきでしたね(笑)

佐藤 要は、親の交友関係や仕事関係のネットワークに、子供やパートナーも一緒になって家族ぐるみのお付き合いをしていくって大事ですね。



室津

これからの時代は特に大事ですね。 自分の身は、自分で守っていくっていうのが大事で、うまく制度も利用するんだけど、結局、自分自身がちゃんと調整やマネジメントをしたり、動かないと結構大変なんです。

佐藤

一人っ子ではないのですが、他の家族の協力が得られない場合は、どうすればいいのでしょうか?1人っ子の時と同様でしょうか?

室津 1人っ子と同様かなと思うんですけど、恵子さんはどう思いますか?

高木 同様だと思います。ちょっと気になるのは介護負担の分担はしないけど、 口だけ出されたら嫌だなって思っています。



室津 結構、多くの人がその部分で苦労しているようです。

その場合は、有難うと伝えつつも、介護負担の分担をしないのであれば、流すこともありだと思います。また、そういったことなど介護に関する苦労を話せる人に話したり、認知症カフェや介護カフェに行って経験者と話したり、SNSを活用するのもありですね。



佐藤

実際、我が家もでした(苦笑)気にかけてもらえるのは有難いんですが、何回も言われ続けるとキツくて。当たり前なのですが、伝える側の人間にも配慮が必要だなと感じましたね。言いたいことを一方的に言うだけでは、介護している人のストレスになったりと逆効果になりますから。配慮って大事ですね。


後編に続く...

 

室津瞳さんプロフィール


看護師、介護福祉士


ダブルケア当事者の声を支援者・自治体に届けてダブルケアでも就労可能な社会への実現に向けて令和元年5月にNPO法人こだまの集いを設立する。

大川医療福祉専門学校にて専任教員。

武蔵野大学 外部講師。

 

高木恵子さんプロフィール


大学卒業後、JTB、上海(中国)と台北(台湾)の外資系ホテル、国内ベンチャーで法人企画営業・マネージャー職のキャリアを積む。30代初めにイギリスでMBA取得後は、国内コンサルティング会社で、大手日本企業に対する海外事業戦略のコンサルティングに従事。現在は、エグゼクティブやマネージャー層へのビジネスコーチング、リーダー育成、チームづくり支援、ワークショップ型研修等で個人と組織の成長をサポートしている。

 

factoriaVOICE新企画「ライフステージが変わっても、その働き方で大丈夫?_介護編」は、毎月TwitterSpacesにて公開収録していきます!

是非、factoriaのTwitterアカウントにご登録頂き、是非公開収録にご参加頂けると幸いです。

それでは!

最後まで、読んで頂き有難うございます*:)



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